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one more think

本当に使えるものを作るには、つくる人と使う人が対等でなければならなくて、その関係は必要になった当日には作れないという話。


ひとつ前の記事(災害のためだけの道具は、たぶん動かない)で、道具を作ることよりも、作る人と使う人の連携のほうが難しいと書きました。今回はその続き、one more thing 的な話です。

で、ここで言っている連携とは何なのかというと、対等な関係のことなんですよね。

使う人が主で、作る人が従、ではいけない。もちろん、その逆でもいけない。どちらかが上でどちらかが下、という形になった時点で、たぶんうまくいかなくなる。

システムを作る仕事では、使う人の立場のほうが上になることがよくあります。お金を出すのは使う側なので、当然といえば当然なんですが、そうすると作る人は「言われた通りに作るしかない」下請けのような立ち位置になりがちです。

言われた通りに作る。これ、一見すると誠実な仕事のように見えるんだけど、実はいちばん危ない。だって、言われたことが本当に必要なことだとは限らないから。

考えてみると、システムに詳しいのは作る人で、現場の運用をわかっているのは使う人です。持っている情報が、そもそも違う。片方だけが正解を持っているという状況は、最初からありえないんですよね。

これ、家を建てるときに似ているなと思います。

そこでどんな暮らしをするのかを知っているのは、住む人です。朝どっちの窓から日が入ってほしいか、洗濯物をどこに干したいか、そんなことは大工さんにはわかりません。一方で、その壁は抜けないとか、その位置に水回りを持ってくると配管が届かないとか、それを知っているのは大工さんのほうです。

住む人が「とにかくここに壁はいらない」と言い張っても、家は建たない。逆に大工さんが「うちのやり方はこうなので」で押し切ったら、住みにくい家ができあがる。

「そこは抜けないので、代わりにこうしたらどうでしょう」「ああ、それなら大丈夫です」——このやりとりができるかどうかが、たぶん全部なんじゃないかなと思うんです。

で、話を災害に戻すと。

災害が起きたその日に、「対等な関係を築きましょう」なんて言っていられないですよね。目の前に困っている人がいるのに、関係づくりから始めます、なんて悠長なことは言ってられない(笑)。現場では、そんな時間はどこにもありません。

だから、普段からの備えが必要なんです。

備えというと、水や食料や道具のことをまず思い浮かべます。でも本当に切らしてはいけないのは、「そこは難しいです」「じゃあこうしましょう」と、遠慮なく言い合える相手がいるかどうかのほうなのかもしれません。

そしてこれは、災害のときだけの話でもないんだろうなと。普段の仕事でその関係が作れていないのなら、いざというときに急に作れるはずもない。逆に言えば、普段からそれができている場所は、何かあったときにもきっと強いのではないかなと思っています。